シャン州北部パオ族の村に訪問しました

こんにちは。

2023年7月下旬頃、私はシャン州北部のパオ族の村に訪問する機会がありました。本記事では、ミャンマーシャン州のパオ族について私自身が感じたこと、学んだことを記載します。

1. **パオ族の基礎知識**

パオ族とは、ミャンマーの民族集団の1つで、主にシャン州に居住しています。200-300万人程と言われています。チベット・ビルマ語派に属する民族。元々は山岳地帯に生息し、シャン州に移り住んだとされています。

宗教は、大多数が仏教ですが、アニミズム信仰を持つ人もいます。

    – 地理的な特徴と位置

パオ族はもともと、ミャンマーの山岳地帯に居住していました。現在は、シャン州の山岳部から平野部まで広く居住している傾向があります。

シャン州は自然が豊かで、気候も穏やかな気候の日が多いです。ミャンマーの中心部に比べて、夏は避暑地になり、冬は寒い日も多くあります。雪が降るほどではありません。

気候にも恵まれ、農業や畜産も盛んです。日本の品種改良されたいちごやアボカド、珈琲豆、お茶なども生産されている自然豊かな土地です。

特に村の中では、自給自足の農業を営み、伝統的生活を維持しながら、自然と共存している傾向があります。
今回訪問したパオ族のアボカド・コーヒー農園は欧米系NGOの方々がコーヒー豆を購入し焙煎など開発をしているそうです。

 -村の構造や住居のスタイル

住居スタイルは、伝統的な木造の家屋で、一般的に竹や木材、藁を使った建築です。茅葺き屋根を使う家もあります。多くは2階建てで、大人数で居住するため家も広いです。

経済的に豊かになった人もいるので、最近ではコンクリートの家なども増えました。

村は畑などの農業地区と居住地区で大きく分かれます。村の中心地には、村人が集まるコミュニティスペースのようなものもあります。(ただ人が集まって話しているスペース)

私が訪問したパオ族の村では、男性は出稼ぎにタイやマレーシアに行ったり、若い女性は農作物の収穫などで外に働きに行ったり、日中はお年寄りが集まって談笑している印象でした。村の商売は、ほとんどの家庭が農業に従事しています。

2. **伝統的な文化と習慣**

    – 伝統的な衣装や織物の意味

パオ族の伝統的な衣装といえば、頭に巻いているタオルと黒地の布です。頭に巻いているのは、パオ族の神様がそのような格好だったから、と言われています。

模様や色彩にも意味が込められていて、赤は喜びや祝福、青は幸福や平和を象徴しています。

    – 宗教や信仰の役割と儀式

パオ族の宗教と信仰はほとんど仏教です。ミャンマーは9割仏教ということもあり、その信仰と教えが浸透しています。

しかし、一部の集落ではアニミズムの要素もあり、自然崇拝や精霊信仰があります。自然界の霊的な存在や神秘な力にも敬意を払って、各家ではそのアニミズム信仰の神棚がある時もあります。

例えば、山や川、森林、岩、植物、などそれぞれの自然の要素に対して独自の精霊や神秘な力があると信じられています。

その精霊が、自然の安定やバランスを保ち、村のコミュニティの安全を守る役割を果たしています。

さらに、祖先崇拝もあります。祖先の霊や過去の先人の存在を重視します。彼らの霊がコミュニティや家族を守り、良い未来へ導く、と信じられています。

日本のように先祖代々のお墓があるのではなく、特定の先祖崇拝の儀式において、食物を奉納し、先祖に掲げることで敬意を著しています。

3. **パオ族とコミュニティ**

    – 家族や共同体の結束と社会的慣習

パオ族に限らず、ミャンマー文化では家族を大事にします。ミャンマー人は海外に出稼ぎに行くことも多いですが、その多くの目的は「家族を支えるため」です。年長者を尊重し、両親の教えを守ります。

これは仏教的価値観とも一致します。仏教でも師匠・両親・仏様を敬う文化がありますが、ミャンマーの家族に対する慣習にも仏教的習慣が反映されます。

さらに、近所付き合いも多いです。パオ族の村では親戚同士が近くに住んでいたり、お互いに助け合ったり。

日本の介護施設のような場所はなく、お年寄りの面倒は家族もしくは地域で面倒を見るのが慣習であり、老人ホームに入る人は家族の身寄りが全くいない人だけのことが多いです。

4. **村訪問の体験記**

今回は、シャン州の都市タウンジーからさらに2時間ほど山奥のパオ族の村に訪問させていただきました。

村では、若い子たちはあまりいません。お年寄りの方が、家を守り、子守りをしている印象です。

では、若い人はどこに?

男性はタイやマレーシアに出稼ぎ労働者として渡航したり、ごく少数ですが日本へ渡航する人もいました。

女性は農業に従事する人が多いです。

農業は重労働ですが、ミャンマーの多くの農村では農業は女性の仕事で、男性は建設や農業機械の運転などが多いようです。

また、近代では、ヤンゴンやタイなど都市部に出て仕送りをする、というミャンマー国内でのブームもあり、農村では若い人は見かけず、人口は少なくなっている様子を感じました。

結婚などもパオ民族以外の人とすることで、パオ族全体の人口も減ってしまいます。

そして、その文化を継承する人も減ってしまうと、彼らの文化財産は今後どのように守り、発展させていくのだろうか、個人的には課題に感じたパオ族村の滞在でした。

しかし、パオ族の村では自分達のアイデンティティとして、民族衣装を着たり、パオ語を話すことも多いです。

さらに、家の中には現在のパオ族の首長の肖像画が飾られていたり、教育を重視する地域行政の取り組みなどもあります。

家族を大事に年長者を敬い、子供の教育に対して重きを置くパオ族での村のコミュニティのあり方は、昔の日本の在り方と似ているように感じます。

今の日本にはない温かさのある心の豊かさを感じることも多く、我々日本人が忘れてしまったものが残っている村です。シャン州のパオ族の村、ぜひ訪問してほしいです。

*追記

2023年10月以降、シャン州北部は戦闘により治安も悪化しています。訪問した場所の治安は悪くはないそうですが、警戒レベルが高まっているようです。現在は訪問を控えるか、訪問時には十分に現地の治安情報を取得してください。一刻も早く、シャン州・ミャンマー全体の治安が改善されることを願いたいと思います。