この記事は、ミャンマーでこれからビジネスをする人や、現地でビジネスを行なっている経営者・広報担当者向けのマーケティング情報としてミャンマーでのデジタルマーケティングについてまとめました。
当然、日本とは異なるミャンマーのデジタルマーケティング分野
とりあえずビジネスには「SNSを使おう!」というよりも、しっかり現地でのSNS事情を把握して置く必要があります。まずは、ミャンマー国民がどれくらいインターネットを活用し、馴染んでいるのか、もしくはまだ馴染めていないのか?インターネットの始まりから見ていきましょう。
ミャンマーのインターネットはいつから?
✔2014年から、外資通信事業の受け入れ
ミャンマーでは、2014年の民政移管後に、「通信事業の外資系を受け入れる」
という国の許可が下りるようになり、落札がありました。
初めて落札されたのが、
カタールの「Ooredoo」と、
ノルウェーの「Terenol」でした。
(*Terenolは、クーデター後撤退し、レバノンのM1グループか軍系企業が買収予定*2022年1月現在未決定)
残念ながら、その時は日本の会社も参加していましたが落札できなかったそうです。
2014年後半に、外資系企業の2社が参入許可がおり、
インターネットがミャンマーで爆発的に普及していきました。
✔2014年以降の通信業者は、
・国営のMPT
→KDDIと住友商事の3社ジョイントオペレーション
・Ooredoo
→カタール
・Terenol
→ノルウェー
*クーデター以降撤退予定。レバノンのM1グループか軍系企業に売却協議中。
・Mytel
→軍関係企業とベトナム(2018年後半〜)
*Mytelは2021年10月現在、軍系企業のボイコット等のため、100以上の電波塔が爆破されている。)
の4社です。
よくマーケットで言われているのは、3社の競合が出てから
「価格競争が始まる」
ということです。
ミャンマーでは、2018年頃から、インターネットの価格が一気に下がりました。
✔2018年のミャンマーは「インターネット元年」とも言われました。
facebookEC、物販、広告、ライブローンチ、オンラインコンテンツが流行り始めたのも、2018年頃からです。
ただ、2018年当初は、インターネットで学ぶ・購入する、
よりも、
学びは、教室で
買い物は、お店で、
という概念が強く、今ほどインターネットがビジネスで活用されていたわけではありません。
やはり、インターネット上で集客・販売/決済・提供が完了する習慣が根付いたのはコロナによる影響が大きかったと思います。
ミャンマーのメインSNSはfacebook
日本では、facebookは下火となり、若者の間では使われていないツールとなりました。
ミャンマーでは、
インターネット=facebook
と言われるくらいfacebookしか使われていません。
ほとんどの国では、
検索=Google
です。
✔ミャンマーの特殊な文字「Zawgyi」
ミャンマーでは、Googleはほぼ使われることもなく、検索もfacebookで行います。
その理由は、ミャンマーの特別な「文字」に関係します。
英語はもちろん日本語もコンピュータで使用する文字は「ユニコード」という国際規格で決められています。
しかし、ミャンマーではユニコードに準拠していない
「Zawgyi」というフォントが主流でした。
今では、ユニコードに合わせるようになりましたが、インターネットが普及した2014年当初は、
ユニコードよりもZawgyiが使われていました。
その際に、facebook社がいち早くミャンマーのZawgyiフォントに対応したため、
ミャンマー国内ではfacebook一強と言われるくらい
インターネット=facebook
となったのです。
✔facebookページが「ホームページ」
中小企業や飲食店ではホームページはほぼ作らず、
facebookページがホームページ代わりになります。
これは他の東南アジアでもホームページよりもfacebookページがメインであることが多いかもしれないですね。
顧客にとってもfacebookで検索をする習慣が根付き、
”Google検索をする”という習慣があまりありません。
検索しても、情報が出てこない
↓
情報が出てこないから、検索しない
の悪循環です。
なので、お店の集客をするのも、オンラインショッピングもほとんどfacebookで完結する形が多いのがミャンマーの特徴かもしれません。
facebook禁止でもfacebookが主流
✔クーデター後にfacebook禁止令
2021年2月にクーデターが起きて3〜4日目頃に突如、facebookが禁止となりました。
Instagram、Twitter、なども禁止です。
理由は、SNSによってデモの呼びかけや国際社会に国軍の蛮行が広まってしまうためです。
現在は、VPNなしではfacebookに繋がりません。
(VPNがあれば繋がるのですが。)
しかし、政府系の公式サイトもほぼ機能しておらず、facebookで最新情報が更新されます。
「facebookが禁止」という通達もfacebookで通達されたり、
政府(国軍)からの重要な通達がfacebookから発表されたり、
大きな矛盾がありますが、禁止となっても政府関係者も、国民もfacebookを使います。
しかし、クーデター後からはfacebook一強だったミャンマーでも
Instagram、Twitter、テレグラムを予備として新しく利用する方が増えました。
自分自身の連絡ツールとしての利用ももちろんですが、
国際社会にSNSを通じて情報発信をする、という目的もあります。
VPNを介すことでほとんどのSNSは通常通りに使えます。
✔ビジネス面での変化は?
ビジネスの面ではfacebook広告が活用されたり、
facebookグループ・ページを通して、販売・集客・認知が行われていたり、
facebookがメインの集客ツールであることは変わりなさそうです。
先日、知人の企業でfacebook活用についてスタッフさんへの教育を行ってました。
画像著作権、数値取得、広告運用、企画内容など。
近年では、facebookが突然接続できなくなったり、特定ワードを使うことによってアカウント停止になりやすい傾向なので
facebookだけの活用はあまりお勧めはしませんがやはり反応が最も取れるSNSです。
なので、ビジネスの面ではfacebookの活用は欠かせないのがミャンマーのデジタルマーケティングです。
ミャンマーのインターネット普及率
2021年1月の時点では、インターネット使用ユーザー数は2300万人を超え、人口の43.4%です。
2020年と比較して+11.8%
になります。
ちなみに日本のインターネット普及率は93%、
私が2年前住んでいたマレーシアは84%です。
クーデター後、インターネット遮断もあったため数値はまた異なるかと思いますが、
国民の半数以下しかインターネットにアクセスできていない、という現状でもあります。
しかし、都市部での個人的な体感としては、1人2台以上の端末を持ち、SIMも複数持つ方も多く、
モバイル接続数は人口の127%となっています。
✔2020年と2019年のインターネット利用比較
・インターネットユーザー+11.8%
・SNSユーザー+31.8%
・ネット利用媒体は98%がスマホ経由
となり、インターネット利用数は激増しました。
インターネットを介したサービスも普及し、
最近では、小学校でもオンライン教育を受けれるようにNUG政府が教育のオンライン化を進めています。
インターネット速度は、20MBPS以上(モバイル・固定共に)
因みに、日本は、
モバイル46MBPS、固定回線150MBPS!
日本と変わらずに仕事ができるくらいの速度はあります。
*速度に関しては、契約会社や場所によって大きく異なりますが、都市部においては、動画視聴、仕事、アップロード等、不便ない環境を選択できる状況にはなりました。
5年くらい前まではメール1通送るのに数時間かかったとか・・・。
✔クーデター後のインターネット利用
クーデター以降は、国軍はネット規制・メディア規制に躍起になりますが、
1988年代の民主化運動と同様のメディア規制では対処しきれるはずありません。
スマホを没収されれば別のスマホからアクセスし、
インターネットが遮断されれば海外SIMを手に入れたり、
固定回線のある場所でインターネットにアクセスをしたり、
SNSが規制されればVPNを繋いだり、
あらゆる方法でインターネットにアクセスをします。
クーデターとコロナ騒動の前にインターネットが普及していたのは不幸中の幸いだったかもしれないですね。
終わりに・・・
2022年1月の段階では、都市部のヤンゴンでは、インターネットはほぼ繋がる状態となっています。
ですので、地方のスタッフとつないでテレワークをしたり、治安が悪い時は自宅から仕事をしたり、といった仕事環境が可能になっています。
しかし、日本のようにスムーズにネットに繋がらなかったり、停電があったりなど、日本と比較すると不便に思われるかもしれません。
また、地方の一部エリアでは、固定回線がなかったり、通信があっても1mbps程度など、大きく異なります。都市部であれば、仕事は日本と変わらずできますが、地方との仕事やスタッフとのリモート、オンライン教室の開講などは、地方のスタッフ・生徒の通信状況を必ずお確かめください。
ヤンゴン在住で、ご自宅で仕事をされる場合は、
固定回線を入れるなど、環境を整えると少しは改善するかもしれませんね。
別の記事では、facebookやそのほかのSNS活用方法などを解説します。