外食業界における外国人材採用の重要性

ミャンマーでは2022年以降、特定技能の外食の求人が増え、日本の外食業で就職したい人材が増えています。

日本の外食業界でも人材確保のために外国人採用を検討している企業も多くなりました。

私自身、ミャンマーの送り出し機関にて、外食業の面接やとレーニングを行っています。その中で課題として感じていることや、外食業界における現在の外国人採用の状況について書いていきます。

1、外食産業における労働力不足の現状

最近の外食業界では、労働力不足が課題となっています。アフターコロナによる外食需要の増加や少子高齢化による人材の減少が背景にあり、優秀な人材確保がますます困難な状況になりました。

また、所得制限内で働きたいというパートの方を多く採用している企業の場合、最低賃金は上がっているため、働く時間が実質減っているという現状もあります。

このような中で外国人材の採用(正規採用)は重要な解決策となっています。安定した人材確保をすることができれば、お店の安定的な営業だけでなく、店舗の拡大も視野に入れることができます。

海外から外国人労働者を採用する場合、基本的に正社員として採用することになります。ですので、時間を固定することができ、長期的に働いてもらうことができます。

2、外国人材採用における課題と対策

2.1 言語や文化の違いによるコミュニケーション課題

外国人材採用には言語や文化の違いによるコミュニケーションの課題が存在します。外食業の場合は、お客さんとの接点もあったり、忙しいお店の現場でのコミュニケーションが求められます。

しかし、特定技能の候補者はN4レベルですので、日本の外食で働くには少しハードルが高い傾向にあります。

この課題を克服するためには、内定後〜入社前の言語教育や異文化理解のトレーニングプログラムの提供が重要です。

海外から外国人労働者に来てもらう場合、事前に母国で日本語や日本の習慣の研修を受けてもらうことをお勧めします。

多くの場合は、事前研修は独学であったり、オンラインで受講したりなどを行い、入国する外国人が多いですが、企業が求める能力と乖離し、トラブルにつながることも多くあります。

そういった課題を少しでも減らしていくために、入国前に企業側と本人もしくは現地の紹介会社を通して、事前にどのようなトレーニングが必要か、を共有してほしいと、現地の送り出し機関としては感じています。

通常、入国までの手続きには3ヶ月以上がかかります。採用面接時にはあまり話せなくても、入社前までに日本の会話力ブラッシュアップや文化・ビジネスマナーを学ぶための時間もあります。

そういった事前講習を受けてから入国してもらうことで、入社後のトラブルなどを防ぎ、即戦力として働いてもらうことができます。

2.2 ビザや在留資格の取得手続きの煩雑さ

外国人材の採用にはビザや在留資格の取得手続きの煩雑さが課題となります。この問題に対処するためには、正確な情報提供と手続きのサポートが必要です。専門的なアドバイスを受けながら、スムーズなビザ取得や在留資格の手続きをサポートすることが重要です。

手続き内容に関しては、出入国管理局のホームページでご確認ください。

2.3 適切な教育・トレーニングプログラムの提供

外国人材の採用は、適切な教育やトレーニングプログラムの提供と継続が必要です。職務や業務に関するトレーニングだけでなく、日本の食文化や接客マナーについても教育の一環として行うことをおすすめしています。

自社で行う場合もあれば、外部の専門家に委託することも可能です。特定技能や技能実習の場合は、日本の支援機関や現地との送り出し機関と連携して継続したサポートを行うことができます。

外食業界における外国人材の採用は、安定的な労働力の確保につながります。

しかし、上記で書いたように、コミュニケーションの面で課題やリスクも同時に存在します。入社前の事前講習や、入社後の継続的なサポート体制を整えることで、より良い外国人に自社を選んでもらい、活躍してもらうことができます。

文化の違いや、育ってきた教育背景が異なるため、日本では当たり前なことも、候補者にとっては理解し難いこともあるようです。

入社後のトラブルを減らし、早く現場に慣れてもらえるように、入国前のトレーニングプログラムを現地の送り出し機関とも連携していくことをおすすめしています。